紺青の拳(フィスト)で蘭が取っていた行動の理由!彼女の孤独な戦い

2019年の劇場版『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』は、『真実VS奇術VS
そのコピーの通り、怪盗キッドと京極真がメインキャラクターに据えられている作品です。
もう『紺青の拳』をご覧になった方はご存知だと思いますが、この作品は京極真と鈴木園子のラブストーリーに重点が置かれていますよね。
ですが実は、新一と蘭のラブ♡もしっかり織り込まれていたんです!
この記事では、『紺青の拳』における蘭の行動と、新一と蘭の絆について掘り下げてみたいと思います。
紺青の拳(フィスト)で蘭が取っていた行動とその理由
『紺青の拳(フィスト)』では、怪盗キッドが工藤新一に変装し、江戸川コナンがアーサー・ヒライに変装していました。
蘭は怪盗キッドが変装した新一に気づいていないようなそぶりを見せていましたが…。
実はちゃんと気づいていて、日本に戻ったタイミングでキッドを捕まえられるように動きを見張っていた!という驚きの大どんでん返しが仕掛けられていました。
コナン、怪盗キッド、京極真&鈴木園子の動きが注目されがちな今作の中で、蘭ちゃんが取っていた行動をあらためて整理してみました。
映画開始後すぐに新一=怪盗キッドであることに気づく蘭
怪盗キッドによってシンガポールに連れていかれ、マーライオン・パークで目を覚ましたコナン。
スーツケースから自力で脱出したところで、蘭を見つけます。
しかし蘭は笑顔で“工藤新一(もちろん怪盗キッドの変装)”に話しかけるのです。
どこ行ってたのよ。捜したんだからね!
これに対する怪盗キッドの答えはこうです。
暑いって言うから、おっちゃんを木陰に案内してたんだよ
これがキッド扮する新一の、蘭との最初の会話なのですが…。
この時点で、もう蘭ちゃんは『この新一はキッドではないか?』という疑惑を抱いていたんですね。
その理由は蘭ちゃんが映画ラストで語っているように、新一は小五郎のことを『おっちゃん』とは呼ばないから。
確かに、新一は蘭の前では小五郎のことを『オメーの父さん』と呼んでいるんですよね。
シンガポールについてすぐに新一=キッドだと見破った蘭ちゃん、さすがです。
ですがこの時点では、まだ蘭ちゃんも疑惑の段階だったのではないかと思います。
『紺青の拳(フィスト)』を初めて鑑賞する際には、蘭ちゃんが新一=キッドだと気づいている、ということを見抜くのはなかなか難しいです。
そのため、ここからしばらくは蘭ちゃんの言動が不可解に見えた方も多いのではないでしょうか。
ダブルデートだと浮かれる園子とは対照的に、テンション低めの蘭
映画前半では、園子がとにかく真さんラブ♡状態で、とっても浮かれていて可愛いんですよね。
鈴木財閥がスポンサーとなって京極さんを『シンガポール空手トーナメント』に再エントリーさせた後、園子は京極さんを自分たちと同じホテルに泊められるよう手配します。
ダブルデートだね♡
と、ニッコニコで蘭に囁く園子ですが…。
この時、蘭は浮かない顔。
そ、そうだね…
と、あまり嬉しそうな感じではありません。
修学旅行回でようやく新一と恋人同士になれたのに、このテンションの低さはなんだろう?とまず疑問に思うシーンです。
マリーナベイ・サンズのプールで新一と手をつないだ理由
蘭はキッドの正体に初めから気づいていた…とわかった後で映画の内容を思い返してみると、不可解なのがマリーナベイ・サンズのナイトプールでのシーンです。
蘭は新一=キッドに近寄って手をつなぎ
私たち、付き合ってるんでしょ?
と頬を染めてはにかんでみせます。
相手がキッドだとわかっているのに、なぜ蘭ちゃんはキッドに迫るようなことをしたのでしょうか?
その答えは、レオン・ローのセリフにありました。
この日の昼間、蘭たち一行はレオン・ローの邸宅を訪れています。
その際、レオンはキッド=新一にこんな言葉をかけています。
君は探偵というよりは、マジシャンのようだね。
君の指だよ。細くてしなやかだ
このセリフは、もちろん同じ部屋にいた蘭ちゃんも聞いていました。
新一とキッドの指の細さを比べるために、プールで蘭ちゃんはわざとキッドと手をつなぎ、指を絡めていたんです!
実は指が決め手になって正体を見破るというのは、アニメ第746-747話、単行本第82巻『怪盗キッドVS京極真』でも使われた方法。
このエピソードでは、人差し指と薬指のどちらが長いかで、キッドが園子に変装していることを京極真が見破った…という演出が使われました。
『怪盗キッドVS京極真』は、『紺青の拳』公開直前に再放送されました。
それは怪盗キッドと京極真の因縁を視聴者に復習してもらうという意味合いだけではなく、“指”が決め手になるシーンがあるよ…という公式サイドからのヒントでもあったのではないでしょうか?
蘭がスタジアムから離れなかった理由
シンガポール空手トーナメントの初日。
試合を終えた京極と一緒に食事に行こうと張り切る園子に、蘭は『食事は二人で行ってきて』と言います。
新一、宝石の警護でここを離れられそうもないから
と言っていましたが…。
蘭ちゃんは新一=キッドだと気づいていますから、もちろんこれは嘘。
むしろキッドが宝石を盗むのではないかと、監視するためにスタジアムに残ったんですね。
新一に電話もせず、心配する様子もない蘭
シンガポール空手トーナメント2日目。
新一=キッドと蘭はカフェで遅めの朝食をとっていました。
昨日はホント心配したんだからね。ずっと連絡とれなくなっちゃってさ
そう言う蘭ですが…。
実際は蘭が新一に電話をしたり、新一を気にするような発言はあまり描かれていないんですよね。
いつもなら必ず新一の行方を気にしたり、『新一、なんで電話出ないのよ』とふくれたりする蘭ちゃんが描かれているのですが…。
今作では、あえてそういうシーンを最低限におさえているように感じます。
タンカーが堤防を破壊した後、蘭は小五郎がサンズ・スカイパークにいることに気づいて慌ててマリーナベイ・サンズに向かいます。
海賊たちと戦っている間、蘭は一度も新一のことを気にしていません。
アーサーとして蘭の元にたどり着いたコナンが蘭を気遣うと、彼女は
もぉ、アイツはどこにいんのよ!
と怒っていますが…。
ここで『アイツ』と言っているのは、完全に新一をキッドの変装だと確信しているからですね。
エンディング後の小パートでようやく重荷から解放される蘭
エンディングテーマの後の小パート。
日本に帰ってきた一行ですが、蘭は新一とぴったり腕を組んでいます。
シンガポールにいた間、プール以外では新一に対してそっけなかった蘭ちゃん。
なぜ帰国してからこんなにべったりするのかな?と思いきや…。
アンタが新一じゃないことくらい、最初からわかってたんだから!
蘭ちゃんカッコいい~!と心の中で拍手喝采してしまうシーンです。
蘭はシンガポールからこっそり中森警部に連絡をとって、キッドと一緒に帰国するから捕まえてくれるように頼んでいたんですね!
一度ならず二度も新一に化けるなんて許さない!
と蘭ちゃんは言っていましたが…。
キッドはモノローグで
正確には四度目だけど…
とツッコミを入れています。
怪盗キッドが工藤新一の変装をしたのは
- 世紀末の魔術師
- 銀翼の奇術師(マジシャン)
- 天空の難破船(ロスト・シップ)
- 業火の向日葵
の4作品です。
蘭ちゃんが言っているのは『天空の難破船(ロスト・シップ)』での出来事ですね。
『天空の難破船』では、キッドが変装した新一をずっと本物だと信じていた蘭ちゃん。
キッドとキスしそうになりますが、キッドが蘭ちゃんのお尻を触ったために
…あなた新一じゃないわね?
とキッドであることを見破りました。
(キッドが蘭の誤解を解くためにあえて気づかせた、というシーンではあるのですが)
『天空の難破船』でキッドがずっと新一に化けていたこと、蘭ちゃんは結構怒っていたんですね(笑)
残念ながらキッドには逃げられてしまい、悔しそうな蘭ちゃんですが…。
シンガポールでずっとキッドを見張っていた彼女の肩の荷が、ようやく降りた瞬間でもあります。
寂しくなかった?に込められた本当の意味
『紺青の拳(フィスト)』で、蘭がコナンと会話をするのは、ラストシーンだけなんですよね。
序盤に登場する蘭はキッドの変装ですし、シンガポールではコナンはずっとアーサーとして蘭と接しています。
新一として蘭と会話をするシーンもなかったんですよね。
そんな重要なコナンと蘭の会話シーン。
蘭ちゃんがコナンにかけた唯一のセリフは
ただいま。寂しくなかった?
でした。
ここは青山先生が原画を描かれたシーンなので、作画にすごく気合が入っていますね。
シンガポールにいる間はずっと怪盗キッドのことでヤキモキし、園子が交通事故に遭ったり、マリーナベイ・サンズで海賊に襲われたりと散々な目に遭った蘭ちゃん。
無事日本に戻ってきてコナンの顔を見て、ほっとしたのではないでしょうか。
なぜ蘭は新一=キッドであることを誰にも言わなかったのか
シンガポールについてすぐ、蘭ちゃんは新一がキッドの変装であることに気づいていました。
ではなぜ彼女はそれを誰にも話さなかったのでしょうか?
考えられる理由は2つあります。
- 誰かに話して騒動になったら、怪盗キッドに逃げられてしまうから
- 園子が楽しそうにしているので、水を差したくなかったから
水面下で中森警部と連絡を取っていたことを考えると、日本に戻った時に確実にキッドを捕まえられるよう、騒ぎ立てずに見張っていたと考えるのが自然ですよね。
小五郎や園子に話してしまったら、キッドファンの園子はきっと大騒ぎしてしまうでしょうし、小五郎も隠し事ができるとは思えません。
というか小五郎はシンガポールで酒浸りでしたから、頼りにできない状況でしたね。
京極さんと一緒の海外旅行で浮かれている園子とは対照的に、孤軍奮闘していた蘭。
彼女の芯の強さにあらためて驚かされました。
さいごに
『紺青の拳(フィスト)』は新一と蘭が両想いになってから初めての劇場版。
ということで、2人のラブロマンスがあるのでは?と期待していたのですが…。
ふたを開けてみれば、新一と蘭どころか、コナンと蘭がまともに顔を合わせるシーンすらごくごくわずかでした。
ですが蘭はささいなことから『この新一はキッドの変装だ』と見破り、『新一に化けるなんて許さない』と腹を立て、誰にも言わずにキッドを監視し続けました。
また、マリーナベイ・サンズで海賊たちと戦っていた時、蘭は蘭の名前を叫んだコナンの声を聞いて
新一の声が…
と言っていました。
ここは怪盗キッドが変装していた新一の声ではなく、本物の新一の声が聞こえた気がしたんでしょうね。
そばにいなくても、心の中では繫がっている…。
明確なラブシーンはなくても、新一と蘭の心の絆がしっかり感じられる、とっても面白い演出でした!
余談ですが、『紺青の拳(フィスト)』のティザーイラストには、こんなキャッチコピーが添えられていました。
Never let you go…“もう決して、あなたを離しません────”
これは京極さんが園子に言った
自分から離れないでください
というセリフと、蘭が怪盗キッドに言った
もう絶対に離さないわ
というセリフのダブルミーニングになっていたんですね!
映画鑑賞後にあらためてこのコピーを見て、感心してしまいました。
ティザーイラストにきっちり伏線が仕込まれていたなんて…もう脱帽です。
『紺青の拳(フィスト)』はこれまでの劇場版同様、2回以上鑑賞することで色んな伏線に気づけたり、あちこちに仕込まれた小ネタを見つけて楽しむことができます。
今作は過去の劇場版や原作エピソードのオマージュと思われるシーンがたくさんあり、これまでのコナン作品へのリスペクトも感じられる仕上がりとなっています。
ぜひ何度も繰り返して鑑賞してみてください!
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そういえば、この作品以前のキッドが新一に変装した映画で、『銀翼の奇術師』はあくまで電話対応した方の新一を(コナンの声が聞こえたから)あれはキッドと判断して、『業火の向日葵』はコナンの対応が偶然にも状況とシンクロして乗っていた新一とキッドをイコールに結び付けられなかったので(最後の場面も『銀翼の奇術師』同様にあの場面だけ疑う、パターンもありそうですし)、蘭からすると「新一に化ける」って条件だと、実質的に『天空の難破船』が唯一になるわけですね。前述の二作は疑惑止まりですけど、『天空の難破船』は確定でしたし…w
それにしても、確かに新一(やコナン)は蘭の前では「おっちゃん」とは言っていませんが、あれで気づくとはさすがですねぇ。
『瞳の中の暗殺者』とかでは蘭との同一電話で使い分けもしてましたけど、「小五郎さん」「おじさん」「毛利探偵」「お前のお父さんor父さん」とかでしたからね。阿笠博士や和葉のときもそうでしたが、キッドって下調べが若干甘いときありますけど、さすがに今回はおそらく本人も無意識に使い分けていたコナンの印象が強すぎたのが要因でしょうかね……。
コメントありがとうございます!
『銀翼の奇術師』『業火の向日葵』は、おっしゃる通り蘭ちゃんにとっては「キッドが新一になりすまして蘭に接触した」とは言い切れない部分があるんですよね。
『天空の難破船』はもうしっかりはっきり「新一の変装」と思い込んでますし、何よりセクハラされている恨みもありますし…(笑)
今回の劇場版では「おっちゃん」発言が決め手になってましたが、『殺人犯、工藤新一』での蘭ちゃんは確固たる理由がないのに「これは新一ではないのでは?」と疑ってましたので、「おっちゃん」がなくても気づいたかもしれないですね~。
蘭ちゃんから新一への愛を感じます…!
キッドは工藤新一よりもコナンから情報収集している部分が大きいので、どうしても『コナンの演技をしている工藤新一』のリサーチしかできないんですよね。
なかなかハードルが高いですよね…キッドがんばれ…。
よくコナンの考察サイト見てますが今までで一番面白かったです
なんで蘭はキッドと知りながらプールでいちゃつくのか謎でした
嬉しいお言葉、ありがとうございます~!
一番だなんて光栄です♪
プールのシーンでは蘭ちゃんかなり大胆でしたが、あれが本物の新一だったら、あんなにいちゃいちゃしなかったと思います(笑)
2年前の記事にまたコメントするのもなんですが、最近知って個人的に驚いてしまった事実について語らせてください。
緋色の弾丸関係でまた劇場版コナンが配信されていたので紺青の拳含めて見直していたのですが、ネットで蘭の前で新一は「おっちゃん」と言ったことはない、という状況に対して「実はおっちゃんを使っていた場面がある」と書かれていて、「え?どこ?」と思っていたんですが……
まさかの前作「ゼロの執行人」のラストシーンの新一のメールでした。
「おっちゃんとオメーが無事で
よかったよ!
連絡ありがとな!!」
まさか前作でネタ潰し?していたとは……
それ考えて見直すと、蘭の表情が新一のメールが本物か疑っているように見えてしまう……w
お返事遅くなって申し訳ありません。
蘭ちゃんにとって、新一は「おっちゃん」とメールで呼ぶことはあっても、実際に口に出して言ったりはしない…という認識なのかなあと思っています(笑)
劇場版は一応パラレルっぽい扱いになってるみたいですし、執行人の世界線と紺青の世界線は別物なのかも?
から紅は原作に紅葉が出た関係で原作の世界線という扱いになっていますが、基本的に劇場版は原作とは切り離して考えるみたいですし…。
とはいえ、ちょっと引っかかっちゃいますね(笑)