2021年劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』感想【ネタバレあり!】
- 2021.04.25
- 劇場版感想
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2021年4月16日、一年間の公開延期を経てようやく公開された劇場版第24作目『緋色の弾丸』をさっそく鑑賞しました。
公開が1年延期になったので、本当に待ち遠しかったです。
というわけで、『緋色の弾丸』の感想を書き留めておきたいと思います。
(あくまで個人的な感想です)
ネタバレには一切配慮していませんので、これから鑑賞される方でネタバレが嫌な方は、映画鑑賞後にお読みいただくようお願いします。
劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』のあらすじ
4年に一度開かれる世界最大のスポーツの祭典「WSG(ワールド・スポーツ・ゲームス)」の東京開催を控え、その開会式に合わせて最高時速1,000kmを誇る「真空超電導リニア」が新名古屋駅と東京の芝浜駅間に開通することが発表された。
世界の注目を集める中、名だたる大会スポンサーが集うパーティ会場で事件が発生。
企業のトップが相次いで拉致されてしまう。
その裏には、事件を監視する赤井秀一とFBIの姿があった。
コナンは今回の拉致事件と、15年前にアメリカのボストンで起きたWSG連続拉致事件との関係を疑うが…。
ではここから、『緋色の弾丸』の良かった点・イマイチだった点を箇条書き形式で挙げていきます。
重ねて申し上げますが、ネタバレがありますのでご注意ください。
『緋色の弾丸』の良かった点
各キャラクターの見せ場がきちんと描かれている
今作は非常に登場人物が多いのですが、どのキャラにも見せ場が作られていて、キャラクター重視の目線で見ると大変満足のいく出来でした。
少年探偵団(特に元太)
今回探偵団はほぼコナンと別行動なので、出番は冒頭とクライマックスに少し…という感じ。
ですがその冒頭シーン、元太の意外な才能を生かして拉致された鈴木会長を見つけ出す活躍が素晴らしかったです。
可愛くて面白いシーンでした。
鈴木園子
今回私の中でめちゃくちゃ株が上がったのが園子です。
リニアのチケットを確保したものの、1枚足りないからクイズで勝負!と探偵団に持ちかけます。
しかし最初からチケットを譲る気だった園子は、答えがわからないフリをしつつ探偵団にヒントを出して『子どもたちが自力でチケットを勝ち取った』形にしてくれるんですね。
結局そのチケットは使われなかったわけですが、仮面ヤイバーショーに子どもたちを連れて行ってくれたり、歩美ちゃんと手をつないでいるシーンがあったり…と、とにかく優しい園子さま。
園子のいいところが遺憾なく発揮されていました。
毛利小五郎
個人的に、今回一番感動したのが小五郎だったりします。
今回の小五郎は
- ジョンさんからの依頼を受けて真面目に仕事をしている
- 蘭とコナンがリニアに乗ると聞き、2人を危険にさらすまいと真剣に2人を止めようとする
- 味噌汁をこぼしたことを蘭に謝る(これで大変好感度が上がりました!)
- リニアにコナンと真純が乗り込んでいることが発覚したら、保護者として頭を下げる
- セクハラシーンや若い女性にデレデレするシーンがほぼない
このあたりが素晴らしかったです!
原作の小五郎は、ダメなところもあるけどいざというときはやる男。
でもそのダメなところがあまりにもひどくて(特にセクハラ関係)げんなりするときもあるのですが…。
今回はそれがなく、なおかつ家事をしてくれている蘭に感謝するセリフまであるなんて!
正直とてもびっくりしましたが、今後もずっとこういう小五郎でいてほしいです。
毛利蘭
今回の蘭は、リニアには乗らないのでアクション的な見せ場はなし。
ですがコナンをとことん心配したり、新一やジョンを守ろうとしたりと、芯の強いところをしっかり見せてくれました。
新一との電話シーンは、こっちが照れてしまうくらい可愛かったです。
灰原哀
こんなに活躍するとは思わなかったキャラNo.1。
コナンの相棒として、とにかくいろいろやってくれます。
表情がくるくる変わって可愛かったですし、いろいろ面白いセリフもありましたね。
帰れないわ。だって子どもだもの
には笑ってしまいました。
沖矢昴&赤井秀一
赤井さんは、スナイパーらしくタイミングを待って待って、弾丸一発で状況を覆せる男。
今回もまさにそういった描かれ方でした。
素顔よりも沖矢の姿でいた時間の方が長かった気もしますが…。
その沖矢さんは、コナンとの電話中は沖矢としての口調をかなぐり捨てて赤井さんの口調でしゃべっていたのが大変よかったです。
羽田秀𠮷
今回最も華やかに活躍した男です。
犯人を詰め将棋で追い詰める、自信たっぷりの姿がとてもかっこよかったですね~!
由美タンと一緒にいるときとのギャップがよかったです。
詰め将棋で犯人を追い詰めるシーンは、まさに秀𠮷だからこそできること。
キャラの特徴を生かした素晴らしい演出だったと思います。
世良真純
リニアの中でコナンと一緒に体を張ったのは真純でした。
コナンにスマホを見せてと迫った時は焦りましたが…。
合流してからラストまでずっと一緒に頑張っていて、彼女の魅力が光っていました。
ラストシーンの笑顔は、見とれるほど可愛かったです。
メアリー
メアリーは秀一と秀𠮷、そしてコナンの前に姿を現すことができない…という制約があるので、出番が少ないのはやむなし。
しかしその少ない出番でも、さすが母は強しという存在感を発揮していました。
赤井秀一と羽田秀𠮷の信頼関係
秀一と秀𠮷の兄弟が一緒に行動するシーンは胸が熱くなりましたね。
原作ではなかなかないシーンです。
秀一が秀𠮷に全幅の信頼を寄せ、弟を『世界一のブレーン』と呼んだことにグッときました。
赤井(FBI)と江戸川コナンの対比
『ゼロの執行人』では、降谷零の正義と江戸川コナンの真実が繰り返し対比するように描かれていました。
今回は赤井秀一(FBI)とコナンの対比でしたね。
場合によっては犯人の射殺も辞さない赤井と、凶悪犯でも決して殺さない江戸川コナン。
放送1000回記念で『ピアノソナタ「月光」殺人事件』がリブート放送されましたが、成実先生の死を経てのコナンの信念が赤井のセリフを通して描かれていました。
赤井はコナンのやり方を否定するでもなく、自分がコナンに影響されるでもなく
後は好きにしろ、ボウヤ
とコナンに選択を委ねます。
この辺のスタンスも、実に赤井らしいですね。
ただ、コナンは犯人を自殺で追い詰めて殺すことはしませんが、自殺した人間の遺体を損壊したことがありますよね。
そう、楠田陸道です。
私は楠田のことがずっと引っかかっているので、このシーンも素直に飲み込むことができないのですが…。
ジョディと犯人の対比
今回一番うなったのが、ジョディが犯人と対峙するシーンです。
ジョディは、犯人の井上治(および白鳩舞子)と同じく、証人保護プログラムで名前を変えた人物です。
証人保護プログラムで名前を変え、新たな人生を歩むこととなったジョディと犯人たちですが…。
井上と白鳩は犯罪者となることを選び、ジョディは犯罪者を捕まえることを選びました。
FBIの薄汚い司法取引のせいで…と激昂する井上に、ジョディは言います。
井上が全米中の非難から逃れられたのも、馬鹿げた復讐劇の真似事ができたのも、井上の言う『薄汚い司法取引』のひとつである証人保護プログラムのおかげだ、と。
ここの犯人とジョディの対比があまりにも鮮やかで驚きました。
光の当たる位置に立つジョディと、陰になっている部分に這いつくばる井上…という視覚からの対比もわかりやすかったですね。
今作の主題歌である『永遠の不在証明』は、映画公開前にはコナンと赤井秀一のことを歌っているのだと思っていましたが。
映画を見てからは、ジョディや井上、白鳩ら証人保護プログラムで名前を変えた人たちのことを歌っているのかな…と印象が変わりました。
置鮎龍太郎さんの演技
今作の赤井さんは、沖矢昴の姿でいる時間が長め。
ですが話をする相手はもっぱらコナンとFBIの仲間なので、『沖矢昴』の演技をする必要がありません。
そのため、見た目と声は沖矢昴なのに、喋り方は素の赤井秀一のままなんです。
この『赤井成分多めの沖矢昴』を、声優の置鮎龍太郎さんは見事に演じられていました。
声は確かに置鮎さんなのに、喋り方は赤井秀一そのもの…という部分もあって、すごいものを聞かせていただいたな…と感激しきりでした。
『緋色の弾丸』のイマイチだった点
とにかく情報量が多くてとっ散らかっている
今作のメインに据えられているのは、赤井一家。
赤井秀一・羽田秀𠮷・世良真純・メアリー、そして宮本由美の5人です。
さらにFBIも登場し、それに加えていつものレギュラーメンバー…。
描かなければならないキャラクターがとにかく多いんですよね。
にもかかわらず、キャラクターたちはあちこちに分散しています。
みんな別行動しているので、画面の切り替えがとにかく多い。
そのため切り替わるたびに集中が途切れてしまって、とっ散らかった印象になっていたのが残念でした。
ミステリー要素が薄い・掘り下げが浅い
今回は犯人がかなりわかりやすく、ミステリー要素はかなり薄かったと感じました。
また15年前の事件についても、今回の犯人たちの動機についても、ほぼ本人たちのセリフで語られるのみなのでどうしても浅く感じてしまいました。
現代のSNS社会を皮肉るような要素が各所に散りばめられていたのは結構よかったなと思ったんですが…。
- 全米の国民が許さないでしょうね
- スポンサーを降りた会社は、アメリカ中から非難された
- 今はなんの利害関係もない赤の他人が束になって、人を追い詰める時代だ
- 父に向けられた全米中の非難はすごかった。とてもアメリカにいられなかった
これらのセリフですが、前半に使われることが多く、最終的に井上が喚き散らしていたのが『FBIへの非難』だったので、この風刺があまり効いてこなかった印象でした。
事前の宣伝ほど赤井一家・赤井秀一映画ではない
コナンの劇場版は予告でミスリードをするのが定番ではありますが…(ゼロの執行人が顕著でしたね)。
今回はミスリードというよりも宣伝詐欺じゃないか、という印象が強かったです。
ポスターなどでは『赤井一家』と書かれていましたが、劇場版公式サイトやTwitterの公式アカウントの施策はとにかく赤井秀一のみをピックアップ。
リロードプロジェクトの『時計じかけの恋歌』は『#赤井さんのここが好き』というハッシュタグをつけてTwitterに投稿しようというものでしたし、『純黒の追跡者』も『赤井秀一が活躍するから純黒の悪夢を見よう』というもの。
また、映画公開初日に公式アカウントが拡散させようとしたハッシュタグも『#待ってました赤井さん』というものでした。
こういう宣伝をされたら、さぞ赤井秀一がメインで活躍するんだろうなという印象になるのは当然です。
ですが実際にコナンとリニアで頑張ったのは真純ですし、カーチェイスで頭脳戦をしたのは秀𠮷。
あの怒涛の赤井秀一プロモーションはなんだったのか?と思ってしまいます。
広報が赤井秀一を押しすぎたために、逆に映画を見た赤井秀一ファンに『出場少なくてがっかり』と思わせてしまったのではないでしょうか。
そもそも赤井一家を映画に出すのは時期尚早だったな、という気持ちすら抱きます。
お互い秘密だらけで報連相ができていない一家なので、劇場版でも動かしにくく絡めにくく、見ている方にもわかりにくいという…。
せめて原作でもっと赤井一家の話を進めておいた方がよかったですね。
クライマックスでメインテーマが流れない
コナンの劇場版といえば、クライマックスのアクションシーンではメインテーマが流れるのが定番です。
それでテンションが上がるし、毎回カタルシスを得られる部分なのですが。
今作では、なぜかメインテーマが流れませんでした。
そのためにリニアの暴走シーンが物足りなく感じてしまいました。
どうして流れなかったんだろう…。
新一と蘭のラブコメシーンがもうちょっと欲しかった
新一と蘭のラブコメシーンも物足りなかったですね…。
この2人のラブコメシーンは電話で話していた部分だけで、それも予告で見せられていたので…。
リニアに蘭が乗っていなかったので、『蘭を助けるために頑張るコナン』という図式にもならなかったんですよね…。
総評
キャラ描写はよかったですが、それ以外のミステリー・ラブコメ・アクションは全体的に中途半端だったな、というのが私の感想です。
いろんなキャラの魅力を描いた結果、キャラ描写に尺を取られすぎていた感もあります。
アクションやミステリーに尺を回すために削れるシーン、結構あったと思うのですが…。
原作を読んでいないけれど劇場版は見ている、というライトなファンの方の感想が気になるところですね。
ライト層とガチ層でかなり評価が変わりそうな作品だと思います。
2022年の劇場版は高木刑事と佐藤刑事がメイン!
来年の劇場版は、高木刑事と佐藤刑事がメインです!
ついにこの2人の時代が来ます!
また、警察学校組が出ることも確定しています。
とはいえ彼らは降谷以外は故人ですので、あくまでもメインは高木と佐藤と中心とした捜査一課で、松田たちは回想で出てくるんでしょうね。
『揺れる警視庁』のような形式になるのではないかな、と予想しています。
あわよくば諸伏景光関係で長野県警(せめて諸伏警部だけでも)出てこないかなと期待していますが、どうなるでしょうか。
とにかく、来年が大変楽しみです!
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