安室透・降谷零・バーボンの一人称について。緋色シリーズで使い分けた理由は?

安室透・降谷零・バーボンの一人称について。緋色シリーズで使い分けた理由は?

2018年公開の劇場版『ゼロの執行人』で爆発的な人気を獲得した安室透

彼は安室透・バーボン・そして降谷零というトリプルフェイスを使い分ける、謎の多い人物です。

 

名探偵コナンの原作やアニメを追っていて、安室透の一人称が何度か使い分けられていることに気づいたことはありますか?

彼は自分のことを『僕』と言ったり『私』と言ったりしているのですが、きちんとした表現上の目的があって使い分けられていると思われます。

 

この記事では、安室透の一人称に関する情報をまとめつつ、使い分けの理由について考察してみました。

 

安室透・バーボン・降谷零の基本情報

まずはトリプルフェイスについて、基本的な部分をおさらいしてみます。

 

降谷零

安室透の本当の姿。

警察庁警備局警備企画課・通称“ゼロ”に所属している公安警察官。

警視庁や都道府県警の公安部に指示を出せる立場にあり、かなり上の地位にいることがうかがえる。

 

バーボン

降谷零が潜入している黒ずくめの組織で与えられているコードネーム。

組織内では探り屋として活動しており、ジンいわく秘密主義者。

ベルモットの秘密を握っており、彼女と一緒に行動していることも多い。

 

安室透

潜入捜査のために降谷零が名乗っている偽名。

バーボンの表向きの名前でもある。

私立探偵として毛利小五郎に弟子入りしつつ、毛利探偵事務所の階下にある喫茶ポアロでアルバイトをしている。

 

本名は『降谷零』ですが、作中ではずっと黒ずくめの組織に潜入している捜査官という立場にいるため、安室透という名前が使われることが一番多いですね。

 

 

安室透・バーボン・降谷零の基本的な一人称は『僕』

まず結論から述べると、安室透・バーボン・降谷零はその立ち位置によって一人称を使い分けることはしていません。

彼の一人称は一貫して『』となっています。

 

トリプルフェイスとはいえ、安室透とバーボンは表裏一体の同一人物ですから、一人称を使い分ける意味はありません。

また、降谷零として公安の人間と話しているところを組織の人間に目撃された場合、一人称が違っているとスパイであることが疑われてしまいます。

 

そのため、真面目な降谷零・人当たりの良い安室透・ミステリアスなバーボンという雰囲気や仕草の演じ分けはしていても、口調や一人称はあえて一貫させていると考えるのが妥当でしょう。

 

 

ですが、安室透は登場して以来、何度か『僕』以外の一人称を使ったことがあります。

その理由をひとつずつ紐解いていきたいと思います。

 

 

初登場時の一人称は『自分』

安室透が初めて『名探偵コナン』に登場したのは、アニメ第667-668話・単行本第75巻収録の『ウェディングイブ』です。

最初はレストランの新人ウエイターとして登場し、作中で実は探偵であると明かされました。

 

ウエイターとして行動している間、彼の一人称は『自分』でした。

引用:名探偵コナン 第75巻 FILE.9『プライベートアイ』

 

これは安室透の正体(ウェディングイブ時点での正体、という意味です)が探偵であると明かす際に、頼りない新人ウエイターとミステリアスな探偵という180度違う人物像を強調するためだと思われます。

ずっと『僕』という一人称を使うよりも、正体を明かした途端に一人称が変わった方が、演技をしていたんだということがわかりやすくなりますからね。

 

正体が探偵だと明かしたあとも

自分、探偵なんで彼のことを色々詳しく調べていたんですけど…

引用:名探偵コナン 第75巻 FILE.10『遺伝子情報(ゲノム)』

と言っていますが、これは演技している時の一人称を引きずっていたのかもしれません。

 

 

 

『ウェディングイブ』の次の登場回である『探偵たちの夜想曲』以降は、彼の一人称はずっと『僕』で安定していますが…。

緋色シリーズでは、複数の一人称を使い分けていました。

 

緋色シリーズにおける一人称の使い分け

沖矢昴と話している時は『私』

緋色シリーズで、安室透は『沖矢昴=赤井秀一である』との確信を得て、公安の部下たちを引き連れ工藤邸に乗り込みました。

沖矢昴(実際には沖矢昴に変装した工藤優作だったわけですが)と話している間、安室透は『』という一人称を使っていました。

 

引用:名探偵コナン 第85巻 FILE.2『緋色の尋問』

 

一般的に、普段は『僕』や『俺』を使っている男性でも、仕事などのパブリックなシーンでは『私』という一人称を使うことがありますよね。

ですが安室透にとって、沖矢昴は取引相手でもなんでもありませんので、マナーや礼儀という意味合いで『私』を使ったわけではありません。

 

むしろその逆で、『私』を使うことで慇懃無礼さを演出していたと思われます。

表面上は礼儀正しく丁寧でも、『お前の正体が赤井秀一であることはわかっている』という上から目線な態度をとっていたということですね。

ここは『僕』や『俺』を使うより、『私』を使った方が効果的に赤井秀一を挑発できる場面だと判断したものと思われます。

 

赤井秀一と話している時は『俺』

緋色シリーズでは、たった一度だけ安室透が『』という一人称を使ったシーンがあります。

引用:名探偵コナン 第85巻 FILE.4『緋色の真相』

 

ここは2019年3月現在、名探偵コナンの原作・アニメ・劇場版を通して唯一の安室透が『俺』と言っているシーンですね。

 

劇場版『純黒の悪夢』では、安室透が赤井秀一と直接顔を合わせて会話をしているシーンがありました。

そのシーンでも、安室透は『』という一人称を使っていました。

つまり、赤井秀一に対しては『俺』という一人称を使っている、という設定ではないわけです。

 

緋色シリーズで『俺』と言ってしまったのは、赤井秀一に自分の正体(公安警察の降谷零)が知られてしまったために動揺し、口調が乱れてしまったからだと思われます。

安室透にとって完全に予想外の展開だったため、つい口調が荒くなって一人称が『俺』になってしまったというわけですね。

 

青山先生いわく、安室透は何でも完璧にできるが赤井秀一には勝てないという設定だそう。

沖矢昴の正体を赤井秀一と見破って工藤邸に乗り込んだつもりが、実は自分の正体を知られてしまったという大逆転劇は、安室透に相当ショックを与えたんでしょうね。

 

沖矢=赤井説が否定された後は『僕』に戻る

赤井秀一と電話で話したことで、とりあえず赤井≠沖矢であると判断せざるを得なくなった安室透。

赤井との電話を終えた後は、いつも通りの『』に戻っています。

引用:名探偵コナン 第85巻 FILE.4『緋色の真相』

 

残念ながら赤井秀一の確保には失敗しましたが、とりあえず落ち着きを取り戻していることがわかるシーンです。

最初の『私』を使っていたシーンと比べると、やはりとげとげしさや慇懃無礼さは感じられなくなっています。

この後のシーンからもわかりますが、かなり素に近い、緊張が解けた状態になっています。

 

まとめると、緋色シリーズにおける一人称のブレは

  • 『私』を使うことで慇懃無礼さを演出
  • 『俺』は動揺のあまり飛び出してしまった言葉
  • 『僕』は素の一人称

ということになります。

 

公安の部下や上司に対しての一人称も一貫して『僕』

コナンや小五郎などを相手にしている時は常に『僕』を使っている安室透。

では仕事中はどうなのかというと、公安の部下や上司に対しても一貫して『僕』を使っていることがわかります。

引用:名探偵コナン 第85巻 FILE.4『緋色の真相』

 

これは来葉峠にいる公安の部下と話しているシーン。

ビジネスの場では『私』を使う男性もいると先述しましたが、降谷零はそういったタイプではないことがわかります。

 

上司に対しても一人称は変わりません。

引用:少年サンデー 2018年32号 名探偵コナン FILE1017『「ミケ」じゃなくて』

 

この時の電話の相手は、黒田兵衛です。

上司である黒田に対しても『僕』なんですね。

部下はともかく上司に対しては『私』を使っているのかと思いきや、『僕』で通していることがわかる貴重なシーンでした。

 

 

幼少期の一人称は『ボク』

単行本第95巻で、降谷零の幼少期が本人の回想として描かれました。

彼がハーフであることが明かされたエピソードですが、それと同時に幼少期の一人称も判明しました。

引用:名探偵コナン 第95巻 FILE.8『あの女性の記憶』

 

子どもの頃の一人称は『ボク』として描かれていますね!

『僕』にしなかったのは、やはり子どもらしさを演出するためでしょう。

 

子どもの頃の『ボク』から、大人になるまでずっと『僕』を使っていたのでしょうか。

高校生~大学生あたりでは『俺』を使っていたりしたのでしょうか。

その辺りははっきりとしませんので、また何らかのエピソードで描かれることを期待したいですね。

 

もしかしたら『ゼロの日常』で描かれる予定の警察学校編で、警察学校時代の一人称が確認できるかもしれません。

 

 

米花百貨店での爆弾事件のメールで『私』を使った理由

これはちょっと番外編という感じですが…。

アニメ第578-581話『危機呼ぶ赤い前兆/黒き13の暗示/迫る黒の刻限/赤く揺れる照準』において、安室透は顔に火傷を負った赤井秀一に変装して登場していました。

 

この時の爆弾騒ぎの際、彼は一般人の携帯電話から毛利小五郎の携帯電話宛にメールを送っています。

引用:名探偵コナン 第67巻 FILE.7『吹雪の中の真実』

 

このメールでは、一人称が『』になっているんですよね。

文面全体からイライラしている様子が伝わってきます。

今となっては安室透のイメージとかけ離れているメールなので、ちょっと笑ってしまうのですが…。

 

このエピソードの段階では、火傷赤井は完全に謎の男として描かれています。

その正体を読者に感づかせないため、もっとも人物像が想像しにくい『私』が使われたのではないでしょうか。

 

犯人からの脅迫状などでも、一番使われやすい一人称は『私』です。

謎の人物像を演出するにはやはり『私』を使っておくのが無難ということなんですよね。

 

 

沖矢昴の一人称は安室透の登場で変更された?

これも余談ではありますが…。

沖矢昴の一人称ってなんだと思いますか?

この質問には、『僕』と答える人と『私』と答える人がいると思います。

 

実は沖矢昴は、登場してからしばらくは『僕』を使っていましたが、アニメ第671-674話『探偵たちの夜想曲』から一人称が『私』に変更されているんです。

 

『探偵たちの夜想曲』は、初めて安室透と沖矢昴が同時に登場したエピソード。

2人とも丁寧な口調で話すキャラクターのため、一人称まで『僕』で統一してしまうと紛らわしいと判断され、沖矢昴の一人称が『私』に変更されたのではないでしょうか。

 

『探偵たちの夜想曲』以降、沖矢昴の一人称はずっと『私』で固定されていますが…。

実は一度だけ『僕』に戻っているシーンがあります。

引用:名探偵コナン 第85巻 FILE.3『緋色の帰還』

 

ですがこのシーンの沖矢昴は赤井秀一ではありません。

沖矢に変装しているのは工藤優作。

しかも優作が身に着けているスピーカーを通してコナンが喋っているセリフです。

そのため、コナンがつい間違えて『僕』と言ってしまったということですね。

相手が公安警察の降谷零/黒ずくめの組織のバーボンとあって、さすがのコナンも緊張していたんだろうと読み取れるシーンでした。

 

 

 

さいごに

これまで見てきたとおり、降谷零・安室透・バーボンの一人称は『僕』でほぼ統一されています

別の一人称を使う時は、よほど気が動転しているか、意図的に変えているということですね。

 

引用:名探偵コナン 第95巻 FILE.9『ぬかったな』

誰かとの会話だけではなく、モノローグでも『僕』が使われています。

 

緋色シリーズにおいて、彼がFBIのジョディ達に言った

とっとと出て行ってくれませんかねぇ…僕の日本から…

や、劇場版『ゼロの執行人』におけるクライマックスの

僕の恋人は…この国さ

など、彼が本心から発言していると思われるセリフでも『僕』が使われています。

このことからも、日常的に使っている一人称が『僕』であることがわかります。

 

コナンも一人称が『オレ』だったり『ボク』だったり、話す相手によって一人称がコロコロ変わりますが…。

安室透はそう簡単に一人称が変わるキャラクターではないですよね。

だからこそ、緋色シリーズでの一人称の変化は印象的で、ストーリーの展開にアクセントを添えていました。

一人称の違いに着目して緋色シリーズを振り返ってみると、新たな発見があるかもしれませんよ!

 

 

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